寒くて目を覚ますと、
掛け布団一枚で
同じく寒そうに身体を縮めた男が隣に寝ている。
外は雪らしい。

未幸はバスローブを羽織ると
暖房を入れにリビングへ向かった。
化粧をしてスーツを選び、
完璧に準備をしてから男を起こす。
着替えをしているところ、化粧をしているところを見られるのが嫌いだ。
生活を男に感じられるのが何よりも恥ずかしい。

「新谷さん、遅れますよ」
新谷は寝起きのよい男で
いつも10分もあれば、
ぼさぼさの頭のまま会社に出かけられる。
もっとも、
新谷がこの部屋で目覚めるのはまだ3回目だが。

「それじゃ、お世話になりました」
「どういたしまして」
当然行ってきますのキスもない。

この男は感情がないのか。
軽い怒りを覚えながら
いつもどこにおいたかわからなくなる
カギを探し出して
新谷が家を出た五分後に家を出る。
静かな朝。
雪が降る音「しんしん」は本当に的を得た表現だ。

新谷と男と女の関係になったのは1ヶ月前。
昨晩は唇を重ねる事もしなかった。



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